科学探究プログラム
科学探究科目 授業公開のお知らせ
06月
19日
2018
本校は、平成24年度から29年度までの6年間、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校として、探究的な学習に関するカリキュラム開発に取り組んできました。 実際の教育活動を見ていただくために、年間を通して授業公開を行います。
【科学探究科目】
本校では、科学の探究に必要な基本学力として、①問題発見力、②仮説・思考力、③実験・分析力、④国際コミュニケーション力の4項目を設定しました。 高校1年を、生徒による探究活動の動機づけ過程と位置づけて、以下の取り組みを行うために、SSHの取り組みを基に「科学探究科目」という独自カリキュラムを開発・実践しています。
①日常的な生活や学習の中で、科学に関する”気づきの体験”を重視し、科学への「興味の口火」を点火する。
②科学に対する好奇心とやる気を持って理系進学を目指す生徒層の拡充を図り、裾野の広く厚い理系人材の育成を目指す。
高校1年に設定した科学探究科目のうち、毎週土曜日の3時間目・4時間目に実施している次の科目を授業公開します。
『科学探究科目』では、「課題研究」について、その基本から丁寧に取り組みます。
「課題研究」は、科学探究の取り組みの主軸として実践的に行われる探究活動のことで、文部科学省が示す”次期学習指導要領”でも重視されています。本校でも、高校1〜3年にわたって、生徒自らが”問い”に対して、”仮説”を立てて論理的に探究活動を実践する時間をカリキュラムに位置づけています。 高大接続改革の流れに沿った、新しい大学入学選抜(新テスト)でも、課題研究を通した探究スキルの習得・活用がポイントになる見られています。 本校の科学探究活動では、生徒自身の論理的思考に基づいた主体的・協働的な深い学びが実践され、社会での活躍に必須とされる学力(思考力・判断力・表現力)に対して高い教育効果が期待されます。
見学希望の方は、以下の内容やスケジュールをご確認のうえ、ご希望の日の見学予約申込をお願いします。
「学際科学」・「SS数理演習」
「研究」とは何か、「探究活動」とはどのような活動をするのか、について、理数キャリアコース高校1年生の生徒全員が受ける授業です。 生徒同士の主体的・対話的な探究活動を重視して、「明確な答えのない課題を探究する」ために必要な科学知、研究活動に対する基本姿勢や探究スキルについて、実践的に習得させていきます。
入学直後から高校1年生がクラス全員で取り組む科目なので、まず「課題に対する視野を広げること」を大切にしています。 学習課題ごとに発表する機会を頻繁に設定しながら、「課題解決型学習」により研究に必要なスキルについて段階を追って習得できるようにしてあります。 また、研究の到達点を意識した研究計画を立てられるようになることを目指して、生徒一人ひとりが取り組んでいく研究の精度を高めるための活動を多く取り入れてあります。
学際科学:日常生活での身近な現象をテーマに、生徒が各教科や学問領域の科学的関連性を発見するプロセスを重視した、体験型・ゼミ方式によるジグソー学習法を行う。 このことにより、理数科目のみならず、人文・社会科目や芸術・保健・家庭科を包括する視点によって、実生活を支える科学リテラシーを習得し、全教科の相互関連性を認識できるようにする。
SS数理演習:実生活の中にある比較的シンプルな科学現象を題材に、実験とグループ討議を積み重ねる中で、科学的視点で調査追跡する方法(実験組み立て法)や、 理科と数学の関連性を応用する方法(数学的データ解析法)などの、研究に必要なスキルを体験的に習得させる。
※上記科目に加えて、「探究の技法」(総合的な学習の時間)に時間を活用して、探究活動の授業を進める。
【前期】 毎週土曜日 10:50~12:40 進学棟:BALスタジオ ほか
4月21日 |
オリエンテーション 「探究とは?」 大学教員の指導のもとで、探究の具体的な活動について考えます。明確な解のない課題に以下に取り組むのか、課題の背景にある要素について、グループディスカッションを通して学びます。 |
4月28日 |
エッグドロップ 導入 「卵」を題材に、「卵はなぜ割れるのか」「卵を割れないようにするにはどんな要素を考えればよいか」「卵を高いところから落としても割れない装置に必要なこととは」というように、衝撃や落下速度などの要素を絞り込み、その制御方法について文章や口頭で発表しあいます。 |
5月12日 |
エッグドロップ 装置の考案・作成 次週に実施予定のエッグドロップコンテストに備えて、装置の試作を実施します。高いところから卵を落とす時に、卵を割らないためにはどのような要素が関係しているのかを各班で考えて、それの要素に関連した工夫が施された装置を作成します。 |
5月19日 |
ミニ エッグドロップコンテスト エッグドロップコンテストを実施します。いままでの学習のまとめとして、実際に作った装置にウズラの卵を入れて、装置を2mほどの高さから落とします。その結果の振り返りを行い、自らの作った装置の改善すべき点、良かった点などをプリントにまとめます。 |
6月 2日 |
「濡れタオルはなぜ乾く?」 (課題研究活動の導入) 現象に対して、「自ら疑問を見つける力」「実験によって疑問を明らかにする力」「得られた結果を発表する力」の育成を目的とします。モデルとなる現象(濡れたタオルが乾く)を設定し、その背景にはどのような科学的要素が隠されているのかを探るスキルを実践的に学びます。第1回目は「濡れた髪の毛を早く乾かすにはどのようにすればいいのか」をテーマに班毎に意見を出し合い、情報の共有を行ないます。 |
6月 9日 |
「濡れタオルはなぜ乾く?」 (要素の検討と予備実験の計画) 第2回目として髪の毛からタオルに話を変えて、1回目と同様にタオルが乾くことに関係した要素を出し合い、それが環境によるものなのか、タオルによるものなのか、水の性質によるものであるのかを分類します。 また、班ごとでテーマを定めて実験をする前に、条件を色々と変えたコップの水の蒸発量を調べる予備実験を行い、測定したデータをまとめ、手書きでグラフ化を行ないます。 |
6月16日 |
「濡れタオルはなぜ乾く?」 (予備実験結果の検討・研究テーマ検討) 第3回目として予備実験の結果をまとめたグラフの発表・情報共有を行ないます。作成したグラフの良い点や悪い点を挙げ、実際に実験を開始する前に実験のやり方や結果のまとめ方の振り返りを行ないます。また、今回より班毎の研究テーマ設定の相談も本格的に始め、テーマ決めに必要な水や蒸発に関する知識を調べます。 |
6月30日 |
「濡れタオルは何故乾く?」 (研究テーマ・実験計画の検討) 各班毎にテーマを設定し、その計画の妥当性や、得られた結果をどのような形で発表するかなど相談します。 また実験に必要な物品についても班毎に調べてまとめます。 放課後の時間や自宅学習期間などを使って夏休み前までに実験を終わらせ、後期の学園祭での発表に向けての準備をします。 |
【後期】 毎週土曜日 10:50~12:40 進学棟:BALスタジオ ほか ※以下の内容は、現在の予定です。
9月15日 |
課題研究の計画討論会 研究題材に対する問いについて、自分のたてた仮説を互いに発表しあい、研究計画を検討します。 |
9月22日 | 学園祭の発表準備 |
9月29日・9月30日 |
学園祭(課題研究の計画発表会) 学園祭では、SSHの会場にて、生徒による課題研究の発表があります。 各自がたてた問に対してどのように探究していくか、仮説とともに探究計画を発表します。 |
10月6日 |
予備検証①,先行研究のまとめ 各自の課題に対して、仮説を立てて検証実験にのぞみます。 本時は、仮説を検証するための妥当性を考えながら予備実験を実施する予定です。 研究の進行により、研究に必要な先行研究をまとめる活動も行います。 |
10月13日 |
「集まれ!理系女子」の準備 「集まれ!理系女子」(10/27)にむけて、自分の研究についてポスターにまとめる作業をします。 |
10月27日 |
「集まれ!理系女子」への参加(東京会場) 10:00~16:15 学習院大学を会場にして「集まれ!理系女子 科学研究発表交流会」を実施します。本校は、主催のノートルダム清心女子高校(岡山県)の協力連携校として、この交流会の運営に携わっています。 「集まれ!理系女子」への見学も可能です。全国の理系女子の課題研究が一同に集まるほか、第一線の研究者による講演会もありますのでぜひ、ご覧ください! 見学希望者は、この授業公開の申込みフォームから申込みください。 |
11月10日 |
生徒による仮説・検証方法の吟味 「集まれ理系女子」での発表・質疑によって得られたアドバイスなどを参考に「気づき」をまとめることで、各自の研究に反映して「仮説」や「検証(実験)の計画」を見なおしします。 |
11月17日 |
予備検証② これまでの見直しをもとに仮説を修正しながら検証実験の計画を立てなおして、予備検証②の実験に臨みます。 |
11月24日 |
仮説の最適化① 予備検証②の結果を踏まえてグループで検討し、より精度の高い仮説に最適化を図ります。精度の高い仮説にすることで、より具体的な検証計画(実験計画)をたてることができます。明確な目的を持って仮説・検証にのぞむことが課題研究には重要なプロセスになります。 |
12月 1日 | 仮説の最適化② 仮説の最適化をさらに進めます。 |
12月 8日 |
成果報告会の準備・ポスター修正 本校の研究成果報告会において、1年次における探究活動の総括をします。各自がこれまで実践してきた探究活動の一連の流れ(「問立て」→「仮説」→「検証」)のプロセスを科学論文の構文(IMRaD)に基づいてまとめ、大判ポスターを作成します。 |
12月15日 |
研究成果報告会(課題研究の中間報告) ※詳細は後日ご案内いたします。 12月15日は、全コースによる探究活動の合同発表会を行います。理数キャリアの取り組みだけでなく、SGH国際教養やスポーツ科学の探究活動も一同に集まります。ぜひ、ご覧ください! |
1月12日 | グループ・個人毎の課題研究活動 |
1月19日 | グループ・個人毎の課題研究活動 |
1月下旬~ | 課題研究 |
【授業形式】 学際科学とSS数理演習は相補的関係にあり、共通する学習課題に対してそれぞれのアプローチを行います。 学習課題には「濡れたタオルが乾く」というような身近な事象を扱って、生徒自身が「乾く」という事象のメカニズムや、各要素との関連性について、 「仮説を立てて、それを検証する」という課題解決型学習を行います。 1年次の課題研究活動として、探究活動に取り組む上で必要となる基礎的知識とスキルを習得するためのミニ課題研究活動から始まり、 実際に自分の研究課題を見つけて、仮説や実験計画をたて発表するところまでを実践的に学びます。
実際の活動では、学習課題ごとにグループを編成して、グループ討議を重視して進行します。検証した内容やその課程については、 最終的にポスター発表を行う機会を設けます。 教員は、生徒自身の「気づき」を大切にして、討議・調査・実験を円滑に進めるための補助役を務めることに専念します。 関連する科学的事象の解説などは必要最低限として、探究活動の答えになるような明確な指示をあえて避けます。 生徒自身の協働学習を重視して、文献やWeb情報をもとにしたキーワード検索から客観的分析・評価をするといった探究の基盤となるプロセスへと誘導します。
※授業の様子は、ツイッターでも配信しています。(このページの左側)