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本メールマガジンは、文京学院大学女子中学高等学校の新しい試みを見つめる、教育評論家の河本敏浩が、お送りするレポートです。学校説明会では伝えきれない「文京」の魅力的な試みを様々な角度から詳しく取り上げていきます。
なお本メールマガジンは、事実関係に間違いがないよう内容の許諾を学校から受けていますが、書かれた内容の責任に関しては、編集責任者である河本敏浩が負っています。

(発信者について)
【編集責任・河本敏浩】
教育評論家、学研web講座講師
河合塾、東進ハイスクールを経て現職。現在は、学研web講座統括責者として、ICT教育の普及に力を注いでいる。著書多数。本メールマガジンでは、アウトサイダーの視点から、文京学院大学女子中学校高等学校の変革への意欲と変化の様子を、公平に偏りなくお伝えしていきます。

Bunkyo Report No.6:英語教育編(3)

10月

25日

2013

国際塾インタビュー 2013・10・25 at 文京学院

 

(前号続き)

 

Q、学校の課内のカリキュラムや工夫も相当に興味深いですね。課内の英語カリキュラムや補習のシステムなど、国際塾以外の文京学院の具体的な英語指導のプログラムを教えてください。

 

北野)学校の授業では英語が好きな生徒とそうでない生徒が混在しています。英語を重点的に学ぶ英語クラスの生徒は、もちろん、英語に対して意欲的に取り組みますが、他のクラスでは、そういった生徒ばかりではありません。国際塾は英語を意欲的に学ぶ生徒を対象に講座が設定されていますが、課内の英語の授業についていけない生徒に対しては別のケアが必要となります。

 

Q、国際塾のカリキュラムは手厚いものでしたが、学校の授業におけるケアとは具体的にどういったことでしょう。

 

北野)定期試験ごとに、授業についていけない生徒を確認して、補習や課題を課しています。また、夏休みなどに、進学講座として、基礎から改めて学び直すような講座も設定しています。

 

Q、そういった学力の生徒をケアすることも大切なことだと思います。では学校の授業に国際塾のカリキュラムはどのように影響しているのでしょうか。

 

北野)国際塾と学校の授業は互いに刺激し合って、良い意味での相乗効果が得られています。本校は20年以上も前から「コミュニケーションのための英語」に取り組んできましたが、国際塾ができ、グローバル人材を育てるという教育目標が明確になったことで、ぐっと後押しされることになりました。中学の正課では、教科書を中心に扱う4時間の他に、多読の時間、会話の時間を各々週に1コマ設定し、「英語を学ぶ」というより「英語を使う」機会を増やしています。「多読の部屋」には約5,000冊の本があり、自分の力に合った英語の本を読むことができます。

 また英語クラスではネイティブ・スピーカーの教師によるライティングの授業を行っています。和文英訳ではなく、テーマに沿って自分の経験や考えを書く手順を学び、訓練を積むのです。定期試験では罫線が引いてあるだけの答案用紙に、一斉に文章を書き始めるので驚きますよ。英語クラス以外でも、個々の生徒が英字新聞を読んで感想を書いたり、テーマ作文を書いたりする「ライティング・ジャーナル」を継続して、正確さの追求から、多少のミスは気にせず、まずは言いたいことを言う力を育てる活動を増やしています。

 

Q、それはすごいですね。ライティングの重要性は島田先生にも語ってもらいましたが、英語コースでもネイティブによるライティングの授業があるのですね。

 

北野)クリエイティブ・ライティングは採点や評価が大変ですし、全生徒一律にライティング能力を高めることも現実には難しいのが現状です。英語クラス以外の生徒でも、海外大学や国内の国際教養系の大学への進学を考える場合、あるいは英語の運用能力を高めることに意欲的な場合には、こういった高度なカリキュラムが必要でしょう。そのような生徒には国際塾への参加を促します。

 

Q、なるほど、それは合理的ですね。理系でかつ国際教養的な勉強を求める生徒も少なくないと思います。理系カリキュラムではどうしても英語は二次的な位置に置かれてしまいますから…それでも学びたいという生徒を国際塾で受け入れるということですね。英語コースは課内でライティング必須、それ以外のコースの生徒でライティング対策が必要な場合は国際塾へという構図ですね。

 

北野)そういうことです。学校の授業では、生徒全員が共通に必要としているスキルの習得を目標として、学習を継続する意欲を高めていくことが基本となります。また日本の典型的な大学入試対策の受験勉強は国際塾では直接扱わないので、進学指導部の主催する課外の講座で受験対策ができるようにしてあります。

 

Q、そうしますと生徒たちの動きは具体的にどうなるのでしょう。

 

北野)中学1年次から全員が会話や多読を含む正課の授業を受け、初めは約半数が国際塾に登録します。しかし、学年を追うごとに登録率は徐々に減り、高2では現在25%くらいです。国際塾は任意なので、この程度の参加でも高率だと感じています。入学当初人気の講座は中学では初級のスピーキング、高校では入試にもつながる英文法講座ですが、ライティングなど高度な内容の講座となると人数は10人を切ることもあります。少人数制ですが、すべての生徒が海外大学や国際教養系の大学を目指しているわけではないので、この数字も自然なものだと受け止めています。つまり半分程度の生徒は全く国際塾に参加せず、課内の授業のみで英語力を鍛え、国際塾を経験した生徒も、高校2年生以降になると高度な内容を求める生徒だけが国際塾に残っているということです。文京学院では、正課の英語科目数や単位数が多く、課内で4技能と文法をカバーしていますから、普段の英語の授業をしっかり受け、課題に真剣に取り組んでいれば、一般的な高校生の英語力を超える力を身につけることができると思います。

 

Q、なるほどよく分かりました。とはいえ受験との関係が気になります。受験を意識し始める高校2年生以降、生徒たちはどのように行動するのでしょう。

 

北野)2年生になると生徒たちは、課内の授業に加えて国際塾に打ち込む生徒、受験を意識した進学講座に向かう生徒、あるいは学外の予備校に通う生徒などに分かれていきます。特に3年生になると国際塾は海外大学、国際教養系の大学への進学を望む生徒の場となり、他の多くの3年生は一般的な受験勉強に向かっていきます。受験対策講座は進学指導部主催で開講され、それは国際塾とは一線を画して行われます。

 

Q、国際塾は方向性を明確にしているわけですね。

 

北野)必要としている生徒にとって国際塾は多大な意義があります。文京学院の英語科は20年来、コミュニケーションと大学入試の2つを目標の両輪として指導方法を工夫してきました。その土台の上に5年前、国際塾が登場し、グローバル人材を育成する方向が強化されていると言えます。新課程の教科書では「読む」「書く」「話す」「聞く」の4技能を総合的・統合的に扱うことが謳われています。1クラスの人数が多く、正確さを重視する入試を意識する学校現場では、従来型の指導法から脱することが難しい部分もありますが、本校にとっては追い風を受けて、先ほど申し上げたような試みを始める教員が増えてきています。新課程による指導方針は歓迎するところだと言えます。

 

Q、新課程の転換、4技能重視は大学入学試験にはまだ及んでいませんが、この流れは引き続き広がっていくと考えてよいのでしょうか。

 

北野)小学校での英語授業の導入など、英語学習の変化の波は止まることがないと思います。今はまだ少数派かもしれない文京学院の取り組みですが、この私たちのアプローチが、日本の英語学習のスタンダードとなる日が来ると思います(→北野先生、申し訳ありません。敢えてこう付け加えで書きました←まったく同感です!)。アジアに英語が急激に浸透している状況はこれを後押しすると思います。国際教養系の大学入試などではもうその萌芽が見られるようになってきています。

 

Q、そのように考えると、タイの学校との連携は意義深いですね。

 

北野) プリンセス・チュラボーン・カレッジ・ペッチャブリー校(PCCP)との提携は、SSHの指定を受けて理数教育のアプローチから始まったのですが、科学的知見をプレゼンするということが視野に入った瞬間、これは英語の問題にもなったわけです。ここでは「読む」だけではだめで、「書く」「話す」そして相手のプレゼンを「聞く」ということも求められ、このコミュ二ケーションの公用語は当然英語となるわけです。この提携では、友好的な国際交流を楽しむという観点に加えて、サイエンスを軸としたアカデミックなコミュニケーションを展開しなければならなくなります。理数クラスを中心に、すでに極めて大きな教育効果をもたらしています。

 

Q、非常によく分かりました。現在、日本の各所にまさに文京学院と同じマインドを持つ学校が少しずつ現れてきています。しかし少なくとも、首都圏でいち早くこのモードチェンジに対応したのは文京学院でしょうし、その意味で一日の長があるように思います。最後にこの文京学院の英語カリキュラムの成果が、大学進学に対してどうような効果を及ぼしているか説明願えますか。

 

島田)本当に大きく数字が変化するのはこれからだと思いますが、どこの大学に何人という意味での成果は着実に上がっています。国立、慶應、早稲田、上智などへの難関大学合格者は着実に増えていますし、昨年は英国の大学に4名が進学しました。英検1級合格者やTOEFL105点の生徒が出現するような、以前にはなかったことも目につくようになりました。それだけでなく在外経験のある生徒の転入も目に見えて増えてきています。帰国子女生徒の入学・転入は、文京学院のカリキュラムを気に入ってのことで、きわめて意識の高い生徒が文京学院に入ってくるようになりました。英語コースの生徒などは、こういった帰国生に触発され、驚くような勢いで成長しています。いずれ進学実績なども向上すると思いますが、そういったことに振り回されず、時代に合った、深く濃い英語指導を実践していきたいと考えています。

 

Q、長時間ありがとうございました。さらなる文京学院の進化を楽しみに見つめていきます。

 

北野)ありがとうございました。

島田)ありがとうございました。

Bunkyo Report No.1:佐藤校長インタビュー編(1)

10月

4日

2013

さて、まずはこの【Bunkyo-report】の編集責任を務めます、私・河本敏浩の紹介からさせていただきます。私はこれまで教育評論家として著書を2点、国語関連の学習指導者として15点以上の学習参考書を出版してきました。前者の仕事として、全国の高校・大学での講演活動を行ってきておりますが、毎年70校近くの学校で、教員、生徒、学生、保護者などを対象に様々な演題で、お話をする機会をいただいております。また学習指導者としては2012 年まで東進ハイスクールに現代文・小論文講師として出講しておりましたが、現在は、学研web講座統括責任者として、ICT教育の普及に力を注いでおります。

 文京学院大学女子中学高等学校との関わりは、2002年から高校生対象の課外講座のコーディネイトなどに関わり、2011年から文京学院大学女子中学高等学校がSSH校に認定されてことを機に、SSHの評議員を務めてきました。

 2009年から文京学院大学女子中学高等学校は、ソニー勤務を経て都立高校で、民間出身の校長として辣腕をふるった佐藤芳孝氏を校長に迎え、他に類例のない様々な改革を遂行してきましたが、私は、その傍らでこの約5年弱に渡る文京学院大学女子中学高等学校の変化をつぶさに見て参りました。

 もちろん必ずしも公平で客観性が担保されている立ち位置から概観していたわけではありませんが、しかしそれでもこの文京学院大学女子中学高等学校の変革への意欲は、数多くの学校を見てきた私の目から見ても、相当に先進的で、理に適っていると断じてよいと思います。特に近年は、生徒の学力向上が実感できるほど変革の成果が出ているように思います。

 

 アウトサイダーの立場である私の視点から、文京学院大学女子中学校高等学校の変革への意欲と変化の様子を、なるべく公平に偏りなくお伝えしていきたいと思います。よって本メールマガジンは、事実関係に間違いがないよう内容の許諾を学校から受けていますが、書かれた内容の責任に関しては、編集責任者である河本敏浩が負っています。

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 発行第1号から3号まで3週に渡って、文京学院大学女子中学高等学校の変革の原動力となった佐藤芳孝校長のインタビューを掲載します。佐藤校長の思いがどのようなものであるのか、10月4日金曜日、校長室にて120分お話を聞きました。その内容をまとめたものが以下のインタビュー記事です。今回の内容は、国際塾設立の経緯などを中心にまとめています。

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佐藤芳孝校長インタビュー 2013・10・4 at 校長室

 

Q,文京学院大学女子中学高等学校は、助走期間を終えて新しい世界を切り開きつつあります。現に実行しているものと、これから実行に移す構想段階のものとがありますが、まずは5年にわたる準備期間を経て、現在大きな教育成果を実現しつつある文京のグローバル化教育について、佐藤校長先生に語っていただきます。佐藤校長が着任した5年前から始まったグローバル化教育は、他の学校には類例がない国際塾という形で結実していますが、この国際塾を設置しようと考えた動機を教えてください。

 

佐藤)グローバル社会では、ヒト、モノ、カネが軽々と国境を越えていき、情報は瞬時に世界をかけめぐります。そういう時代にあっては、求められる人材像もかなり違ってくるのではないかと思います。例えば、人が簡単に国境を超えて行く時代、異文化が融合する時代に、異文化の人々と接する際に心の壁を作らないことが大切になります。そういうことを国際塾での学びを通して、生徒たちに身につけてもらいと考えました。英語を聞いたり話したりすることで、生徒自身が徐々にオープンになっていくのではないでしょうか。又、多彩なカリキュラムは、他の学校ではなかなかお目にかかれないものだと思っています。

 

Q、現在の一般的な英語教育のカリキュラムと国際塾のカリキュラムの最大の違いを教えてください。

 

佐藤)現在の日本の英語教育の問題点が、グローバル化の波の中でいろいろ語られていますが、英語教育の仕組みそのものよりは、実は日本の子供は圧倒的に英語に接する時間が少ない、これが実は最も大きな問題だと思います。したがって英語に接する時間、英語を使う機会、こういったものを大幅に増やしていかなければならない、これが国際塾の重要なコンセプトの一つです。つまり多くの高校生は「英語ができない」というよりはむしろ「英語に接する機会が少ない」と言った方が的確だと思います。

 例えば東南アジアを例に挙げましょう。すでにシンガポールは英語圏に近い文化を形成していますし、マレーシアも英語が公用語となっており、国全体で英語を使う傾向があります。ところが日本は文化的制度的な違いがあり、そうはなってはいません。特に初等中等教育など日本の教育の質の高さは十分に誇ってよいと思いますが、英語を使う機会だけが、アジア諸国と比較して少ないと言えます。

 よって本校の国際塾では、スクール・イン・スクールの形態を取り、放課後や長期休暇中に英語のシャワーを浴び、希望者に対して高度な英語に触れる機会を提供しています。国際塾は放課後や長期休暇中に開講されますので、正規の学校カリキュラムではなく、学年にとらわれることなく習熟度別にクラスを編成することができます。将来は単位化することも考えています。

 また通常の教科は文科省の指導要領に基づいて教科会の方針に従って授業内容が決められますが、国際塾は教科会と共存しながらもカリキュラムは独立して編纂されています。国際塾のプログラムを担当するのは本校教員と、外部の講師、ネイティブの専任講師などですが、特に通常の授業ではなかなか時間が取れない、英語によるコミュニケーション、プレゼンテーションのための講座、英語の資格試験対策講座などに力を入れています。

 

Q、中高6年間、高校3年間で国際塾に参加した生徒は、何を目標としているのでしょうか。あるいは何を得るのでしょうか、

 

佐藤)一言で言えばTOEFL型の英語力を身につけることを目標とします。もちろん英検対策や大学受験対策も視野に入れていますが、TOEFL型のハイレベルな学びを実践して行けば、日本の大学受験にも十分対応できるレベルにまで到達することができます。もちろん海外大学へ進学しようという高い意欲を持つ生徒にも十分に対応できるレベルの講座も用意されています。

 ただしすべての生徒が始めから激しい英語カリキュラムに参加するわけではありません。国際塾に参加する中学生は基礎的な内容からスタートし、難しい課題や宿題が出るわけではありません。国際塾は、普通の成績の生徒が、高度な英語力を有するように育てて行くプログラムなので、個々の生徒のレベルに対応できるように講座のレベルは設定されています。特に中学1年生は、まずは週に一度、放課後カリキュラムに参加する程度に止め、また部活に参加している生徒は週に一度だけでも国際塾に参加できるように講座を配置しています。ちなみに当校ではスポーツに打ち込む人こそ英語を勉強するべきだと考えていますので、部活に熱心に取り組む生徒にも国際塾の受講を推奨しています。

 

Q、現在までに明確に言うことのできる国際塾の成果、また印象に残っている生徒について教えてください。

 

佐藤)授業内容の整備、また国際塾の設置を受けて、当校は今、帰国子女の入学者が増えてきています。ただしこのことを差し引いても、当校の生徒の成績は相当に向上しています。ベネッセが実施している英語の試験GTECは、「読む」「書く」「話す」「聞く」の四要素を問うものですが、当校の成績は日本の一般的な進学校の英語力平均値よりも高いレベルにあります。これは国際塾の明確な成果の現れです。

 また印象に残っている生徒に関しては、英国の大学に進学した生徒を挙げます。そもそもこの生徒は英語コースに属していたのですが、それほど英語力があったわけではありませんでした。しかし当人のモチベーションが相当に高く、卒業後には英国の大学に進学し、海洋生物学を専攻しています。意欲こそが大切だとこの生徒には改めて教えてもらいました。

 また次の印象に残っている生徒は帰国生ですが、もともとできる生徒で、当校に編入して入って来た時にはTOEFLスコアで80以上ぐらいだったのですが、1年後、国際塾で学んで105までスコアを伸ばしました。120点満点のTOEFLで105点の点数を取るということは、欧米の大学トップ校へのエントリーが認められるされるレベルです。英語のできる大学生でも80点とるのは大変難しいと言われています。彼女も確実に国際塾でスコアが伸びたと実感していたようです。

 

Q、英語指導に関するコンセプトは理解できましたが、グローバル化への過度な偏りがあるという懸念が寄せられることはありませんか。

 

佐藤)まず非常に大切なことは、私立学校なので創立以来の伝統文化が強く継承されているということです。これはいくら英語教育に力を入れても変わるところではありません。私が考えているのは、21世紀にふさわしい形で、学園の伝統文化を継承することです。最低限の勉強の基礎基本を学び、伝統文化を身につけることは先進的なカリキュラムの有無に関わらず、非常に大切なことです。新しく作り上げる努力も必要、しかし学園の伝統、日本の伝統を継承することも同じように大切です。

 またグローバル教育と言っても英語だけやればいいということではありません。私はグローバル化=英語化だとはまったく思っていません。その現れが、タイの学校との提携です。

 

Q、グローバル化と言えば欧米化と一般には考えがちですが、東南アジアのタイの学校との提携に向かった理由と経緯についてお話いただけますか。

 

佐藤)2年前文科省の方の紹介でタイの学校関係者に会いました。タイの教育者は日本の教育に対するリスペクトが強く、日本人、日本文化に学びたいという強い意欲を一様に持っています。私は非英語圏の異文化とのつながりを模索していましたので、このタイの方が当校に視察に来た時、提携しようと即決しました。

 このタイの学校はプリンセス・チュラボーン・カレッジ・ペッチャブリ校(PCCP)と言い、タイのプリンセスの肝いりで作られた学校です。同じ名を冠した学校がタイ全土に12校あり、科学者養成の任を負った相当にレベルの高い中高一貫校です。私もPCCPに今年視察にうかがいましたが、学校のレベルが非常に高いこと、さらに生徒のマナーが格段にいい様子に触れ、当校の生徒たちとの交流において学ぶ事が多いと確信しました。いわゆる一般的な提携校同士の交流ではなく、お互いがお互いのテーマを持って、それぞれの生徒たちが課題に取り組み、交流するような形を構想しています。特に海を越えて、生徒同士の共同の研究会、発表会を行いたい。生徒たちのプレゼンテーション能力を磨き、異文化の人々にも自分たちのプレゼンが十分に理解してもらうことのできるレベルだと実感してもらいたいと願っているのです。相手がネイティブの欧米人であれば、どうしても萎縮してしまう面が出てしまうかもしれませんが、タイの中高校生ならば英語を介する苦手意識はお互い様です。互いに仮に英語が稚拙であっても、課題の内容をしっかり理解してコミュニケーションすることの意義に気付くことができれば、まずは十分な成果ではないでしょうか。

 またこの高校がサイエンスの名を冠した学校であるという点も当校にとっては大きな意味があります。それは当校が、異例の形でSSH認定校となったことと関わりがあります…

 

 以下、次号に続く。

Bunkyo Report No.2:佐藤校長インタビュー編(2)

10月

4日

2013

佐藤芳孝校長インタビュー 2013・10・4 at 校長室

 

(前号の続き)

 

Q、グローバル化と言えば欧米化と一般には考えがちですが、東南アジアのタイの学校との提携に向かった理由と経緯についてお話いただけますか。

 

佐藤)2年前文科省の方の紹介でタイの学校関係者に会いました。タイの教育者は日本の教育に対するリスペクトが強く、日本人、日本文化に学びたいという強い意欲を一様に持っています。私は非英語圏の異文化とのつながりを模索していましたので、このタイの方が当校に視察に来た時、提携しようと即決しました。

 このタイの学校はプリンセス・チュラボーン・カレッジ・ペッチャブリ校(PCCP)と言い、タイのプリンセスの肝いりで作られた学校です。同じ名を冠した学校がタイ全土に12校あり、科学者養成の任を負った相当にレベルの高い中高一貫校です。私もPCCPに今年視察にうかがいましたが、学校のレベルが非常に高いこと、さらに生徒のマナーが格段にいい様子に触れ、当校の生徒たちとの交流において学ぶ事が多いと確信しました。いわゆる一般的な提携校同士の交流ではなく、お互いがお互いのテーマを持って、それぞれの生徒たちが課題に取り組み、交流するような形を構想しています。特に海を越えて、生徒同士の共同の研究会、発表会を行いたい。生徒たちのプレゼンテーション能力を磨き、異文化の人々にも自分たちのプレゼンが十分に理解してもらうことのできるレベルだと実感してもらいたいと願っているのです。相手がネイティブの欧米人であれば、どうしても萎縮してしまう面が出てしまうかもしれませんが、タイの中高校生ならば英語を介する苦手意識はお互い様です。互いに仮に英語が稚拙であっても、課題の内容をしっかり理解してコミュニケーションすることの意義に気付くことができれば、まずは十分な成果ではないでしょうか。

 またこの高校がサイエンスの名を冠した学校であるという点も当校にとっては大きな意味があります。それは当校が、異例の形でSSH認定校となったことと関わりがあります。

 

Q、大変魅力的な提携だと思います。ここでSSHの話になりましたので、続いてSSHについてお聞きします。まずはSSHとはどういったものか、簡単にご説明願います。

 

佐藤)SSHとはスーパーサイエンススクールの略称で、卓越した理系教育を実践する高等学校を文科省が認定し、そのための予算を配分する制度です。これまで多くの高校が認定されてきましたが、率直に言って、地域を代表するような受験エリート校が多く認定されてきました。東京では, 筑波大学附属駒場高等学校、東京学芸大学附属高等学校、東京都立科学技術高等学校、東京都立多摩科学技術高等学校、東京都立日比谷高等学校、東海大学付属高輪台高等学校、学校法人文京学園 文京学院大学女子高等学校が認定されています。

 この認定を得るためには、どういった理系教育を推進したいのか、そのコンセプトを明確にしたうえで、具体的なプログラムを組み、さらに多くの立候補した高校な中から選ばれなければなりません。またいきなり申請しても理系教育プログラム実施の実績がなければ認定されることはほぼ困難です。

 当校では私が着任する以前から、様々な理系教育のプログラムを行ってきていました。理数教科担当の教員はいつかSSH校として認定されたいという夢を持っておりました。個性的なプログラムを先行して実践していたこの事実が、SSH認定に対して大きく貢献しました。とはいえ理数教科担当の教員は5年かかるだろう、5年で申請まで行く事が出来たらと…と考えるに止まっていました。しかしやるならば即決であろうと。

 

Q、なるほど国際塾と同様にSSH認定への動きが本格化したわけですね。

 

佐藤)基本的には教員の下積みが認定の根拠となったので、その点は私の成果というよりは教員の努力の賜物と言えます。しかし物事には速度と決断が必要です。SSH認定への夢を目標に変え、私の責任でSSH認定に挑戦することを決めました。

 

Q、一見、無謀な挑戦のようにも見えますが。

 

佐藤)申請にあたって重視したのは、女子校ならではの生き生きとした理系教育を行うということです。近年、理系教育の衰退が指摘されることが多いのですが、それは硬直した既存の理系教育のあり方に問題があると考えることもできます。男性中心、座学中心の受験型の勉強が先行すれば、理系分野への関心や情熱を脇において、単に手段として勉強する若者が増えるのはある種の必然です。もちろん基礎学力は非常に重要で、関心を掘り起こすことだけでは不十分です。しかしこれまでにない理系教育、特に女性に対する理系教育の推進をするうえでは、関心と情熱を掘り起こし、新しい理系教育の形を作ることこそが重要だと考えたのです。これは一見、無謀な試みかもしれませんが、実現への手応えと私たちが考えるプログラムの意義は十分に自覚していました。

 また理系の大学生を多数輩出しているわけではない当校が、SSHの認定を受けたのは、女子理系教育の裾野を広げ充実させたいと考えていた文科省の思惑と合致した幸運があったと思います。加えて、軌道に乗り始めた国際塾のプログラムに理系プログラムを合流させるという試みも高く評価されたと思います。質の高い英語教育と理系プログラムの融合は、他にない当校独自の試みだと思います。認定当時、率直に言って,当校は決してスーパーな学校ではなかったのですが、スーパーになりうると文科省が判断し、そして今や、それが現実のものとなる手応えを十分に感じています。

 

Q、よく分かりました。ではもう一歩踏み込んで文京のSSHのコンセプトを教えてください。

 

佐藤)女子校で実践的な理系教育を行う、これが前提ですが、まずサイエンスの好きな生徒を育てたいということが根幹にあります。現在、小学校で理科の実験の時間が減っていると言われています。理科教育の衰退は、実はこの関心を引き出すプログラムが各所で衰退していることが遠因としてあります。ゆえに当校では実験を豊富に用意し、サイエンスに対する関心を高め、探究心を育てていくことを第一義のものとしています。

 当たり前のことですが、関心を持たないと学びは続かないものです。世の中のハテナ、身近なハテナを見出だし、関心を持つ、ここをベースにしないと本当の意味でのサイエンティストは育たないと私は考えています。自分でハテナを見つけ、自分でそのハテナの解を追求する、そして学校は子供にじっくり課題に取り組むよう促し、サイエンスへの目を開くよう導く、こういった過程を形成することこそが現在、最も大切なことだと思っています。

 

Q、ではそのコンセプトを具体化するためにどういった工夫をされているのでしょうか。

 

佐藤)三つのポイントがあります。一つは高大連携、一つは小中高連携・他校連携、そして教科指導、です。

 

Q、ではまず高大連携からご説明お願いします。

 

 当校のSSHは高大連携に力を入れています。SSHの一般的なプログラムは実験主体になることが多いのですが、当校ではこの実験を基本的に大学や専門機関との連携を前提にして進めています。例えば、併設文京学院大学保健学部の教授の監修の下、本格的な解剖実習を行っています。これは生徒にも大変好評で、継続して取り組んでいます。また講演も多彩で、多くのテーマで生徒たちの関心を喚起しています。本年だけでも首都大東京教授可知直氏、日本鱗翅学会会長岸田泰則氏、東京大学特任助教片野尚子氏、などの講演が行われます。また先端科学講座「再生医療研究の最前線」への参加、大学研究室訪問として東京大学染谷・関谷研究室への訪問なども実行しました。

 そもそも教科書で学ぶことがどのように発展していくのかを実感することは大切なことで、実践的かつ日本の最先端の理系知を体現する講師の方々においでいただき,お話しいただくことは大変有益なことだと考えています。先日の学祭、あやめ祭でも講演が行われ、これもまた大変好評でした。

 

Q、高大連携は、その必要性が叫ばれていますが、具体的に実践している学校となると決して多くないですね。

 

佐藤)要は実行力です。また高大連携だけではありません。都立戸山高校、県立熊谷西高校が参加して行われたエッグドロップコンテストは恒例の催しになりつつあります。これは他校との連携です。また小学校との連携も進めており、毎回締め切りとなる小学生対象の科学塾一日体験は大変好評をいただいています。これは男の子の参加も可能で、男の子を含めて本校で理科の実験をする場を提供し、当校の生徒がお手伝いをしています。こういった教える、指導する体験も生徒には必要で、学ぶだけでなく伝えるということにも目が向くように工夫しています。

 伝えるということで言えば、国際塾でも説明しましたプリンセス・チュラボーン・カレッジ・ペッチャブリ校(PCCP)との連携も現実のものとなります。学校の援助を介して生徒間の交流を進めることは当然ですが、スカイプを使って日常的に、日々学んだ成果を英語で発表し合うというプログラムも実行します。他にも、国際形態学会(新潟・朱鷺メッセ)でのプレゼンテーションや「女子生徒による科学研究発表交流会」などにも参加しています。

 もちろん任意による参加が原則のプログラムが多いのですが、当校の多くの生徒が極めて前向きに取り組んでいます。こちらが見ていて、忙しすぎるのではないかとも思うのですが、生徒個々が自身のペースと関心の強さから各プログラムへの参加の度合いを判断しており、思った以上に適応します。生徒たちは極めて積極的ですね。

 

Q、ではこれらのプログラムと受験対策を含めた学力指導はどうなっているのでしょうか。

 

佐藤)もちろん、学校での進路指導の一貫として受験指導も手厚く行っています。しかし受験勉強に入る前に、当校の生徒は理系的思考の素養を手に入れていますので、座学型の勉強にもスムーズに入っていくことができます。受験に直面して初めて慌てて勉強するスタイルと比較して、受験の成果だけでなく、大学入学後の学びについても大きなアドバンテージを得る事ができます。

 いずれにしろ女子理系教育というのは、近年非常に注目されるようになったものです。しかし当校は、それらが注目を集める前から、地道な努力を積み重ねてきました。それが科学塾、SSHと実を結び、他にない教育実践を可能にしています。非常に手応えを感じていますが、SSHは外部評価にもさらされますし、何より今後の卒表生たちの受験の成果引いては人生の充実度によって、私たちの実践が評価されることになります。その意味では大変緊張感を持って日々取り組んでいかなければならないと自戒しています。

 

Q、ありがとうございます。私の目から見ても国際塾、SSHプログラムは個性的で非常に上手くいっているようにも見えます。これら二つの試みを軸に今後の文京は展開していくのでしょうか。

 

佐藤)もう一点、これは実現に向けて疾走中ですが、最後にスポーツの観点から新しいプログラムを構想しています…

 

 以下、次号に続く。

Bunkyo Report No.3:佐藤校長インタビュー編(3)

10月

4日

2013

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佐藤校長インタビュー最終回です。文京学院大学女子中学高等学校は、これまでにない現代的な試みを形にしてきましたが、佐藤校長インタビュー最終回は、2013年から2014年にかけて最後の構想として現在進めている、スポーツ学講座、2014年度中学入試の募集で予定されているスポーツサイエンスのコースについてお聞きします。また昨今様々な点から関心を集めている「いじめ」問題に関しても、併せて語ってもらいました。

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佐藤芳孝校長インタビュー 2013・10・4 at 校長室

 

(前号の続き)

 

Q、グローバルに学び、グローバルに働くことを前提として進路選択ができるように様々な制度設計が為されていることはよく分かりました。そうなるともう一つ気がかりなのは、スポーツを念頭に置いて入学を考えている生徒はどうなるかということです。

 

佐藤)本校は全国大会での優勝経験のあるバレーボール部を始め、部活動に多くの生徒たちが関わっています。私立学校なので、優秀なスポーツ選手も受け入れていますが、私は従来型のスポーツ特待生には異論があるのです。

 

Q、と言いますと。

 

佐藤)正直、一昔前のスポーツ特待生はその競技だけをやっていればいいという風潮があったかと思います。今でも、プロスポーツに直結するような競技ではそういった風潮が残っているだろうと思います。

 しかし、考えてみればスポーツに関わった者は、競技者としての人生よりも、引退後の人生の方が圧倒的に長いわけです。また競技者として世界的レベルに到達できなかった多くの競技者は、アスリートとして独立して生きて行くこと自体困難なわけです。特に学校は、一流の競技者を輩出することを最終目的として部活動を推奨しているわけではないのです。本校では、特定のスポーツ活動に関わった生徒たちに対しても、将来のキャリアへの選択が広がるような教育を提供することが学校の役割だと私は考えています。

 

Q)具体的にはどういうことでしょう。

 

佐藤)文京学院では文武両道のさらに上に行くコース、スポーツサイエンスでの募集を構想しています。2015年度(平成27年度)の開設に向けて、スポーツを多面的に学ぶコースの開設に向けて着々と準備を進めています。身体ケア、スポーツ心理、運動生理学などを幅広く学び、通常の授業では、英語を重視すると共にスポーツジャーナリズム、スポーツに関わる歴史などスポーツに関わる文化を広く学ぶことができるようなカリキュラムを現在検討しています。

 また実は生徒たちの多くは高校生になると、将来、選手としてではなく、何らかの形でスポーツの仕事に関わる仕事を望む生徒も出てきます。であれば競技者としての技量の向上を目指すだけではなく、将来のキャリア形成という意味からも、チームワークやリーダーシップを科学すること、スポーツそのものよりもスポーツを俯瞰して見る力を養うことなども必要で、それらはスポーツ学講座などで取り上げていきたいと思っています。

 

Q、最近は大学スポーツの世界でも、単位認定厳格化の波が押し寄せて、競技だけやっていればよいという姿勢を保っている大学は、あまり多くないのではないでしょうか。従って、スポーツサイエンスという考え方は極めて現代的ですね。

 

佐藤)スポーツにサイエンスの要素を盛り込みたいというのは、この文京学院の部活動の様子を見てからずっと構想してきたことです。活発に活動している生徒たちのキャリアをどう形成するかということはまさに学校の役割です。よってこのコースは、必ずしもスポーツを得意とする人ばかりで構成するつもりはありません。一流のアスリートを目指す人はもちろん、スポーツを学ぶことに関心のある人にも参入してもらいたいと思っています。

 幸い当校はバレーボール部に全国レベルの実績があり、併設の大学にはスポーツ医療の専門家もいます。国際塾や科学塾と同じ枠組みでスポーツ塾を開講し、アスリートとしての技量向上だけでなく、スポーツに関わる生徒たちに対して生涯にわたって良い影響をもたらす教育プログラムを設置したいと考えているのです。

 加えてこのコースに属する生徒に対しては、英語の課題も積極的に課していきます。世界的なアスリートになるにしても、指導者になるにしても、またスポーツの世界を離れたとしても、グローバル化に対応する力は必須です。ゆえに学校の勉強にはしっかり取り組んでもらわなければなりませんし、英語や科学的思考を身につけることはとても大切なことです。スポーツを大きな視点でとらえること、これをカリキュラム化すれば、競技実績の向上も、人間力の向上も可能になると思うのです。

 

Q、なるほど大変興味深いですね。実現できるとよいですね。

 

佐藤)必ず実現します。2014年4月入学生(現小6)からこのスポーツサイエンスの意識をしっかり持ってもらいます。

 

Q、よくわかりました。長い時間のインタビューありがとうございました。話題は尽きませんが、最後に一点お願いいたします。昨今大きな問題となっている「いじめ」問題を取り上げていただきたいと思います。「いじめ」に対峙する校長先生の姿勢をぜひ語ってください。

 

佐藤)まず大きな視点から語りましょう。「いじめ」に関しては第一に命の尊さを重く受け止めることが大切だと思います。一人一人の子供が親の愛を一心に受けて生まれ、育ったということを感じることができれば、他者の尊厳を損ねたり、貶めたりすることはなくなるはずです。しかしこれだけ「いじめ」問題が繰り返し世評を揺るがすならば、学校での教育としてまだ為すべきことがあると私は考えています。実際に当校では「誕生学」という講座を導入し、命の大切さや自分を振り返る機会を設けています。

 

Q、なるほど。しかし実際に「いじめ」の芽というのは根絶できないと思うのですが。

 

佐藤)もちろん根絶することは難しいですが、しかし、根絶を目指します。「いじめの芽」に教員が気付くことは難しいことではないはずです。「いじめ」が問題化する際には、教員が一人で状況に相対していたり、問題を矮小化してとらえていたりすることが背景にあると思います。となればとにかく教員の印象レベルであれ、「いじめ」の「芽」を感じたならば、直ちに教員間で情報を共有すること、そして必ず校長である私に確実に伝えることを教員たちには厳守してもらっています。そして「芽」が「芽」でとどまらない可能性が少しでもあれば、私自身と中学代表が問題解決に乗り出します。現在まで、そういった事態に至るまでの深刻な状況に陥ったことはありませんが、しかしそれは教員の連携の良さと私自身が乗り出すという姿勢が抑止力になったのだと思っています。いずれにしろ「いじめ」に関しては、「いじめられる側」の生徒の尊厳を直ちに救い、守ると共に、「いじめる側」に対する教育的指導が必須で、それは教員の側の心遣い、校長の私の明確な姿勢が前提となってなされるものだと考えています。

 

Q、ありがとうございました。非常によくわかりました。文京学院女子中学高等学校の独特な取り組みが、佐藤校長の一貫した変革への姿勢に裏打ちされていることがよく分かりました。非常に長い時間お疲れ様でした。都内の私立学校では、あまり見られない取り組みだけにぜひがんばっていただきたいと思います。最後に、このメールマガジンの読者にメッセージをお願いします。

 

佐藤) 文京学院大学女子中学高等学校は今年90周年を迎える伝統ある学校です。しかし教員一同の力を糧に文京学院は今大きく変わりつつあります。しかしそれは通り一遍の受験校化を指向するのではなく、子育てをする親が深層で望んでいることを具現化するような形で新たな方向性を打ち出しています。インターナショナルスタディ(アドバンストとスタンダード に分かれます)、サイエンス、スポーツへと現代的な人材育成へと舵を切って行く文京学院の試みは、これまでの教育のコンセプトになじんでいる人にとっては目新しく映るかもしれません。しかし文科省や大学教育の方向性は、よりグローバルな教育に転換しつつあります。文京学院はその先端を走っていると自負しています。先日の塾の先生方に対する説明会でも、文京学院の試みに対して多くの励ましをいただきました。

 今後は、伝統校ならではの日本の美点を学ぶカリキュラムを活かしつつ、新しいカリキュラムを積極的に取り入れていこうと思っています。また当校はこれを一定のスピード感をもって着実に進めていきます。

 

 文京で学べば、グローバル化に対応したキャリア形成ができる、ソーシャルキャピタルを身につけることもできる、もっと分かりやすく言えば、世界中に友達(ネットワーク)をつくることができる、といった実績を積み上げ、その結果をもっともっと広く世に伝えていきたいと考えています。

 ちなみに中学は、2015年度(平成27年度)入試(現小5)から新しいコース別の募集となります(グローバル、サイエンス、スポーツの3コース)。本年2014年度入試(現小6)の入学生も、2年生になれば、この新しいコースに則ったカリキュラムで学ぶことになります。中1時には、習熟度クラス編成も考慮しますが、大切なことはまず国際塾、科学塾(SSHカリキュラム)、スポ学塾(構想中)に対応できる力が身に付くような基礎力を作ることにあります。

中学1年生で、自分の関心の原形を作れば、自分が進んで行くコースを主体的に選択することができます。コース選択は中2で、続いて高1でもコース変更ができるようにします。コース選択、コース変更については、本人の希望に、成績が加味され、学校が最終的に決定します。

 

 大学に入ること、就職すること、これらは極めて大切なことですが、その背景に、持続する探究心、10年後、20年後どうなっているのかを自ら考える主体的意識がとても大切だと思います。現代の保護者を説得するだけの教育力とは、まさにこういった意識を持つように育て成長させることだとも思います。

 正直これまでの当校の生徒たちは、受験や進学に対してチャレンジする力が弱かったと言えます。しかし近年、こういった傾向が急速に改まりつつあります。一般入試に果敢にチャレンジする生徒、高倍率のAO入試を突破する生徒が格段に増えています。チャレンジする精神は、まさに文京学院で学んだことに対する自信の現れなのだと私は感じています。ぜひこれからの文京学院に注目してください。

 

インタビューを終えて

 

 意欲的に変化しようとする姿勢が、リーダーである佐藤校長の言葉から色濃く伝わってきました。現実に文京学院の卒業生の進学先を見ると、大きな地殻変動が起こるような予感をひしひしと感じます。まさに変革期のリーダーにふさわしい印象深い言葉の数々でした。

 

 今号で佐藤校長のインタビューは終わりです。次月は第2週11月8日から、3週にわたって実際の生徒たちがどういった学びの道を歩んでいるのか、国際塾担当の先生にお話を聞きたいと思います。

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