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「Atlantic Pacific Japan サマーキャンプの視察、その背景とは?」(学院長・理事長:島田 昌和)

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夏休み中、生徒たちは様々な活動をしています。多様なレポートがあがっていますが、特に岩手県の釜石市でのアトランティックパシフィックのサマープログラムが5回に渡って掲載されています。このコロナ禍にあって、綱渡りのようにして実施した、参加生徒が随分と遠くに足を運んだ校外プログラムです。さまざまなプログラムが詰め込まれていて、これは一体何?と思われた方も少なくないかも知れません。

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そもそもこのプログラムは、文京学院大学とロンドン芸術大学(UAL)のつながりの中で、関わり始めたものでした。2011年の東日本大震災後に、アートの力で被災地に何か力を貸したいと行動し始めたUALのクリス・ウエインライト副総長らの活動に起因します。その中でロビン・ジェンキンス博士はウエールズのアトランティックカレッジの運営にも携わっていました。イギリスも海洋国で、入り組んだ海岸線に囲まれています。海の災害や海難救助のために入り江毎にレスキューボートが用意され、それをボランティアメンバーが運営しているそうです。日本の消防団活動のようですね。

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なんとそれを津波の被災地に用意したいと考え、受け入れをしたのが岩手県の釜石だったのです。このサマーキャンプの開催地・釜石市の根浜地区も津波で大きな被害を受けました。家族を亡くした住民がたくさんおられます。その方々がこのレスキューボートの運営を一緒に担っているのです。英国で製作されたボートとその収納コンテナははるばる海を渡って日本に到着し、文京学院大学の本郷キャンパスの中庭に仮置きされました。

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その後、2019年から釜石市でのサマーキャンプがスタートし、文京の中高からたくさんの生徒が参加しています。海を題材にいろんな思いが詰まっています。海をよく知って、安全に怖がらずに海と共生してほしい。大量の海洋プラスチックゴミが海の生態系を破壊しようとしている。釜石は津波でどんな被害を受けて、そこからどのようにして復興に向かって頑張ってきたかを知ってほしい。都会の日常生活に海の存在は希薄かもしれません。しかし、多くの資源、我々を取り巻く環境、いつどこで起こるかわからない災害、いい点も悪い点も含めて海の存在を忘れることなく、上手に付き合っていかねばなりません。

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私も2泊と短い期間でしたが、生徒たちの活動をこの眼で見たくて訪問してきました。地元の民宿のおばちゃんの優しさ、たった5日間であっても地元と東京をはじめ日本各地から集まった中高生たち。英国からやってきたプロフェッショナルなスタッフ。このプログラムから巣立った大学生のお兄さんお姉さん。地元の実に多くの方々による支援によってプログラムが成り立っていること。

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私があえて書くまでもなく、文京生はそれらを一杯に受けとめてきてくれました。大学ではご縁のある釜石の地で大学生が学ぶことのできる“スタディケーション”を実現したいと考え、学生が行動を始めています。文京にとっても第2の故郷が釜石になることを夢見ています。

(学院長・理事長:島田 昌和)

2022年度「学院長メッセージ」バックナンバー

学院長メッセージ」(4月6日)
ペン習字600枚」(5月2日)
中学3年生の関西修学旅行」(5月16日)
芸術鑑賞会:劇団四季『アラジン』の壮大なロマン」(6月6日)
保護者”役員”さんとのトーク」(6月20日)

ICT活用授業”潜入”」(7月1日)

 

 

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