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「芸術鑑賞会:劇団四季『アラジン』の壮大なロマン」(学院長・理事長:島田 昌和)

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ウィズコロナ下、感染に最大限気を付けつつ、学校行事を戻しつつあります。その一つとして3年ぶりの実施が芸術鑑賞会。できなかった思いを詰め込んで、劇団四季の『アラジン』を中1から高3まで全校あげての鑑賞会となりました。ご案内をいただいたので、私も一緒に観劇させていただきました。劇団四季、たぶん随分と前に『ライオンキング』を観たくらいかなあ。ディズニーストーリー、たぶん初めてかなあ、という初心者観劇でありました。汐留の劇場前に行くと、中学1年生が、「理事長先生、こんにちは!」と声をかけてくれます。驚きつつ、私も挨拶をして「学校生活はどうですか?」と尋ねると、「友達がたくさんできて毎日が楽しいです」と元気に返事をしてくれました。

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さあ、アラジンであります。最初はどうなんだろう?自分は楽しめるかな?お話に入り込めるかな?と不安いっぱいでありました。実は最後は目頭が熱くなり、涙がジワリとあふれ出てきてお話に感動していました。自分の願いを優先させていいものか悩むアラジン、他の力を借りて手に入れたものが本当に尊いものなのか、そんな心の葛藤を、知恵と勇気で乗り越える主人公に感動できた自分に驚きました。生徒の皆さんは、ロマンチックなアラビアの舞台設定や二人の恋が成就するハッピーエンドに胸を膨らませながらも、きっとアラジンの葛藤と成長、アラジンに寄り添い励ましつづけるランプの魔人・ジーニーとの信頼関係の大事さに気づいたことでしょう。

ところでご存じの人が多いと思いますが、ディズニー映画は、原作を感動のストーリーに上手に書き換えています。アラジンの原作はどんなお話しなんだろうと気になって、少し調べてみました。皆さんもご存じの『アラジンと魔法のランプ』のお話があって、それは『アラビアンナイト』または『千夜一夜物語』に入っているというのはご存じの方も多いかもしれません。

しかし、大元はよくわかっていないという不思議だらけのお話のようです。つまり、世界の人々がこの物語を知るようになったのはフランス人のアントワーヌ・ガランの翻訳によるのだそうです。ところがです、『アラジン』のアラビア語による原典の存在はいまだ確認されておらず、人からの聞き書きによるものだそうです。ということはもとのお話を誰も確認できないという、ミステリアスなお話なんだそうです。

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後のイギリスの探検家・リチャード・バートンによって書かれた『アラジンの不思議のランプ』のお話の日本語訳を古本で購入して読んでみました。驚くほどいろいろと大幅に違います。あれ、アラジンの出身地は中国!アラジンのお母さんが物語にずーっと出てくる。ランプの魔人には名前がない。魔法を使える数は3つだけじゃなくて無制限などなど。一緒なのは最後に二人が結ばれてハッピーエンドくらいかもしれません。

1700年代以降にヨーロッパにもたらされた『アラビアンナイト』。その原型は1000年前後のアッパース朝で成立していたよう。でもアラジンという有名なお話がアラビアの世界に本当にあったのか、もとのお話がどんなだったのかよくわからないという、ある意味ロマンチックでミステリアスな世界のことのようです。ディズニーや劇団四季が用意してくれたロマンと人の勇気の大事さを教えてくれる素晴らしいお話に酔いつつ、歴史そのもののスケールの大きさやそのロマンに思いをはせるのも悪くないかもしれません。

(学院長・理事長:島田 昌和)

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