グローバル教育

中学校・高等学校:JICA研修員による視察(4日目~シンポジウム)

グローバル教育

去る10月2日~7日、「国際協力機構(JICA)」の研修員6名が本校にて研修を行いました。パレスチナ、エジプト、マレーシア、マダガスカル、モンゴル、そして南アフリカと、まさに国際色豊かな研修員は、主に中学生の授業や様々な取り組みを通じて「日本型教育」について研修。昨今、知・徳・体をバランスよく育む「日本型教育」が世界から注目されています。探究活動、グローバル教育に力を入れている本校では、本校独自の伝統教育や食育なども学べることから、今回研修先に選定されました。生徒たちにとっては、多様な文化・習慣を持つ研修員の皆さんと、英語を介した交流を持つことのできる大変貴重な1週間になりました。

4日目(10月5日)
研修4日目は、本校バレー部員がボランティアで行っている早朝の本校周辺の掃除の見学から始まりました。清掃の目的や、分担の決定方法、清掃範囲、更には、遠隔地から通学している生徒に「どうしてそんなに遠くから通っているのか」等、様々な質問が飛び交っていました。自国で見せるために、生徒たちと一緒に清掃する様子の写真を撮る研修員もいらっしゃいました。
続いて中学校の保健体育の授業視察、更に技術家庭の授業内で中学2年生の生徒と、おにぎりを作りました。その後、授業を担当した家庭科教員から、日本の食育の始まりや指導要領から、現在の食育について取り上げ、本校での食育について、授業や給食、特別活動と関連させた講義を行わせていただきました。給食の残飯はどのように処分しているのか、給食を残す生徒にはどのように指導しているのか、お代りはどのようなルールを作っているか、など多くの質問が出されました。また、全国の料理が給食で出されていることに大変驚かれ、「食べてみたい」ととても興味を持たれていました。

5日目(10月6日)
約1週間に渡る研修期間も、いよいよ翌日のシンポジウムをもって終了となります。研修員の皆さんは、研修室である「国際交流室」にて、プレゼンテーション資料の作成に追われていました。そんななか、昼休みに数名の生徒が国際交流室を訪れます。この期間に研修員の皆さんと親睦を深めた生徒たちです。お別れのプレゼントを渡したり、一緒に写真を撮ったり。研修員の皆さんは、資料作成の手を休め、生徒一人ひとりと言葉を交わし、彼女たちと一緒に写真を撮ってくださいました。生徒にとっても大変有意義な1週間になったことを実感する1コマでした。

6日目(10月7日)
併設大学である文京学院大学構内において、公開シンポジウム「日本の教育-何が諸外国の関心を惹くのか?」が開催されました。本校での研修期間をはじめ、研修員の皆さんがそれぞれの自国が抱える教育分野での課題とその解決策(アクションプラン)を提案します。皆さんのプレゼンテーションを拝見していると、改めて「日本型教育」の長所が見えてきました。


会の最後に、1週間の交流を通して感じたこと、考えたことを伝えるべく、中学3年生が登壇しました。内容、発表態度、共に素晴らしいもので、発表を聴いた研修員の皆さん、会場の参加者からは、大きな拍手が送られていました。

以下、上記生徒たちが発表した内容です。

私はテレビなどで現地の様子を見たことがあります。そこで映されていた映像は危険なものが多く、危ない場所と思い込んでいました。しかし、今回のお話を聞いてみてそうではないということが分かりました。エジプトやパレスチナの現地の映像をプレゼンテーションで見せていただいた時、歴史的な町並みも多くて快適で驚きと同時にとても興味深いと思いました。JICAの皆様のプレゼンテーションのおかげで自分の思い込みが間違いだと気づきました。今回の交流を通じて、紛争地域である国や今まで治安が悪いと思っていた国がそういう一面だけではないことを知り、とても勉強になりました。どんな国にでも歴史があり、そこには人々の生活があるということを知り、どの国の人にも幸せに暮らせる平和な世の中になれば良いと思いました。また、私と同じように思い込んでいる人もいると思うので、このような機会がもっと増えて欲しいと思いました。いつか現地の人々と交流して、文化や伝統に触れてみたいです。

私が住んでいる日本は公用語を制定していませんが、事実上日本語が公用語です。今回、様々な国の皆さんと交流してその国について調べると、公用語がいくつもあることが分かりとても驚きました。特に公用語の数が多かったのは南アフリカの12言語でしたが、Aさん(南アフリカからの研修員)が日常的に使用しているのはそのうち、3つだそうです。公用語が複数ある理由は、様々な民族がその国で暮らしているからだそうです。公用語の中に含まれている言語で最も多いのは英語だと言う印象を受けました。やはり英語は世界共通言語だと強く実感しました。現状の自分の英語力では、来校した研修員の方々と直接英語でコミュニケーションを取ることは難しく、もっと細かなところまで知るために、さらに英語を勉強していく必要性を感じました。私たちの学校は英会話の授業があります。その授業ではネイティブの先生やクラスメイトとも英語で会話します。今後も、積極的に発言して自分の英会話のスキルを高め、世界中の人と話せるようになりたいです。

今回、私はモンゴルとマレーシアから派遣されたJICA研修員の方々と交流をする機会を得ました。私が当たり前だと思っていること、例えば、沢山の種類のお菓子があること、授業の後には掃除をすることなどが他国ではそうではないと知りました。モンゴルのお菓子は羊や馬のミルクをお菓子の材料にしているそうです。私は羊や馬は食肉以外知らなかったので、試食してみたいです。掃除はよい習慣なので、ぜひ持ち帰ってほしいです。もう1つ私が研修員の皆さんに持ち帰ってほしいと思っていることがあります。それは、茶道と華道です。私が好きだからというのが最大の理由ですが、それだけではなく、心が落ち着き、礼儀作法やマナーが身に付くからです。今回の交流で、知識と技術の共有のみではなく、お互いの国の理解も深まりました。また、SDGs達成を目指した課題は世界共通だと実感しました。課題解決は容易ではないでしょうが、JICA研修員の方々には自国に戻ってから活躍してほしいです。また、私もいつか皆さんの母国を訪れ、もっと色々なことを肌で感じ取りたいです。その時、茶道と華道だけではなく、私の大好きな出汁について、日本の良さをたくさん紹介したいです。また、各国のよいところを吸収し、日本に帰国後、発信したいと思います。

グローバル教育News一覧に戻る